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ホラーは「因果応報」よりも「理不尽」の方が怖い? “こわい話”を解剖する

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ヤフーニュース引用

ねとらぼGirlSideでは、8月10日~15日にかけて「怖い話」特集記事を連載しています。「因果応報譚よりも、理不尽な展開のほうが怖い」と思ったことはありませんか? 実はそれは「Jホラー」の黄金律。最終夜の今夜は、「理不尽」が怖く思える仕組みについて“解剖”します。

小さな女の子

――「時々、鏡に小さい女の子が映るんだよ」。

学食で友達の有馬が急にそんなことを言い出したから、俺は危うく飲んでいたお茶を吹き出すところだった。

有馬によれば「それ」が起こり始めたのは半月ほど前からだという。洗面台、風呂場の鏡、ふと覗き込んだ街角のショーウインドウ……。

「俺の後ろに立って、口をパクパクさせててさ。着物を着てるんだけど帯がちょっと変で、結び目が縦になってるんだ。調べたら葬式の時にそうやって結ぶらしいんだけど」

「口をパクパクって、何か言ってるのか?」

俺が聞くと、「声は聞こえないんだけど、口の動きはいつも同じで、こう……」

有馬は大きく口を広げ、「お、お、う」と声を出した。

「なんとなくだけど、俺に何か伝えようとしてるんじゃないかと思ってさ」

お・お・う……O・O・U……子ども……葬式の結び方……ふと、思いついた。

「『お・こ・つ』じゃないか? 例えば自分のお骨がしっかり供養されてないとか。身内で小さい子が亡くなった家とかないのか?」

実家に電話して聞いてみる、と有馬は頷き、その場はそれで終わった。

夜。興奮した様子の有馬から電話がかかってきた。

「名探偵だな。母さんに聞いたら、去年死んだ叔母の家がひどいゴミ屋敷で、いまだに誰も片付けに行ってないらしいんだが、叔母が心のバランスを崩してゴミを溜め込むようになったきっかけが、子どもを5歳で交通事故で亡くしたからだって言うんだ。……つまり、ゴミ屋敷に供養されないままのその子の遺骨が遺されてる可能性がある」

一方的にまくしたてられ、気が付くと俺は週末、有馬と一緒にゴミ屋敷の掃除に行くことになってしまった。

有馬の叔母が死ぬまで独りで暮らしていたという家は、団地の一室――1DKの小さな部屋だったが、天井高くまでどこからか拾ってきたのだろう壊れた家電や調度品、そして大量のゴミ袋に埋もれた壮絶なゴミ屋敷だった。

田舎で家業の工務店を継いでいるという、有馬のお兄さんが出してくれた軽トラックにどんどんゴミを詰め込み、処理場を三度も往復してやっと俺たちは目当ての品を見つけた。金襴地のすっかり色褪せた、小さな骨箱。お兄さんが持ち帰り、実家の墓に納骨するそうだ。

作業が一段落し、有馬は飲み物を買ってくると言って出て行った。

「不思議なこともあるもんだね」連れ立って部屋のベランダでタバコを吸いながら、お兄さんは俺に言う。

「でもこれで叔母さんも、幸一郎くんと天国で会えるかもしれないな」

……「幸一郎くん」?

俺は訊ねた。「亡くなったお子さんというのは、男の子なんですか?」

「そうだよ」お兄さんは事もなげに頷いた。俺の脳裏に、ある予感がよぎった。

「……叔母さんは、なんで亡くなったんですか? まだお若かったんですよね」

「ああ。車にはねられてね。見ていた人が言うには、ふらふらと赤信号の交差点に飛び出していったらしい」

有馬の叔母も、その息子も交通事故で死んだ。

有馬も俺も勘違いをしていた。

俺は口を開こうとしたが、階下で響いたけたたましいブレーキ音と、何か重いモノが跳ね飛ばされる音がそれを遮った。

力が抜け、俺はその場に座り込んだ。ふと目に入った掃き出し窓に、白い着物を着た女の子が映っていた。

「お骨」じゃない。俺にはその声が、はっきりと聞こえた。

「殺す」。

――という話は、私が一から十まででっち上げた大嘘です。最終回なのでちょっと長く語ってみました。謎の女の子に次々と呪い殺されていく家族は実在しませんのでご安心ください。この話には、とある“90年代以降のホラーの鉄則”が含まれています。

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