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ヤバすぎ

私がヤバすぎる女性ストーカーと4ヵ月間戦い、勝利するまで #完結

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一対一での全面対決
 名刺にあった住所を頼りに向かったSさんの家は、非常に遠かった。都心から電車で1時間ほどかかり、ようやく到着した3階建ての安アパートは、彼女がLINEのタイムラインに載せていたものと同じだった。

 来てしまった。これから対峙、いや対決せねばならない。時刻はすでに21時近かった。あまり遅くならないほうが良いだろう。

 友人に同行を頼もうとも思ったが、同行者がいれば警戒されるだろうし、話もうまく進みそうにない。一対一であれば、こちらの覚悟も決まる。が、絶対に背中を見せないようにしなくては。相手は、何をしてくるか分からない。キッチンに包丁ぐらいはあるだろうし、うっかり背を向けた瞬間にグサっとやられたら……。最悪の事態を想定し、逃げやすいように靴はアーミーブーツ。少しでも刺されにくいよう、夏なのに長袖を着て行った。

 アパートの窓を確認すると、蛍光灯の光が室内から漏れていた。彼女はいる。もはや、どっちがストーカーなんだか分からなくなってきたが、ここは勝負しなくてはならない。金属製の階段に足をかけて登り始めると、自分でも驚くほどにドク、ドク、と心臓の拍動が聞こえた。インターホンを押す。反応はない。何度かノックしたが、やはり反応はない。

 いったん敷地の外に出てて、LINEで電話をかける。今度はすぐに出た。

 「あー西谷さん、どうしたんですかー?」

 突然連絡が来たことを、怪しむ様子は見られない。

 「ちょっとお伝えしたいことがあって、今、Sさんの家の前まで来ているんですが、お邪魔していいですか?」

 「えー、なんでー!? どういうこと!? えー、ちょっと待って! えー!」

 かなり驚いた様子だったが、話をしたいと丁寧に伝えると、ドアを開けてくれた。玄関先で話をすることになったが、相手が凶器を持って襲いかかってきた場合に備え、まずは逃げる動作をイメージした。

 部屋着姿の相手は「えー! 何なのー!?」と動揺し続けていたが、決して狂乱しているわけではなく、会話は成立しそうだ。攻撃してくる気配も見られない。名刺を取り返そうと思い「あの、最初お会いした時の名刺を見せて欲しいんですけど」と伝えると、

 「えー、ちょっと待って! ないよ! もらってないって!」

 と言うので探して来てと頼んでしばらく探させたが、どうやら本当に手元にないようだ。よし、これで一安心。

 「LINEで何度も何度もメッセージ送ってくるの、迷惑なのでやめて欲しいんです」

 と伝え、ちょうど玄関先の洗濯機の上にスマホが置いてあったので、「これちょっと借りますね」と言って、LINEを開いた。幸いロックはかかっていなかったが、画面がバキバキに割れていて、非常に操作しにくかった。

 他人のスマホをいじるのは少々気が引けたが、状況が状況だけにやむを得ない。ここで連絡先を消去すれば、悪夢は消えるのだ。このあと誓約書を書いてもらうつもりだったので、相手に話しかけるときは、穏やかな口調を意識した。

 「今後一切、私と関わらないでください」

 「えー、わざわざそれを言うために、ここまで来たの!?」

 「ええ、だってLINEで言っても分からないんでしょ。私とはもう一切関わらないでください。約束できますか? できるなら、この誓約書にサインしてください」

 事前に用意していた誓約書にサインを求めると、意外なほど素直に署名・捺印に応じた。「何これ、こわーい……」と言っていたが、こちらのことを怖いと思うぐらいでちょうど良い。ストーカー犯に「相手の立場に立って」とか「迷惑しているから」などと道徳的なことを説いても恐らくムダで、彼らは“快・不快”でしかものごとを判断できないのではないかと思う。

 “この人と関わると、不快なことが起きる”。このように相手の脳にインプットさせることができれば、行為は止む。そのために警察、あるいは第三者が間に入るのは有効かもしれない。

 署名・捺印を終えた誓約書を受け取ると、私は「本ッ当、迷惑! 不快! あんたキモい!」と少し声を荒げて言い放った。彼女はションボリした様子だったが、仕方あるまい。4ヵ月間溜めた怒りを込めて、一言言い返してやりたかったのだ。

 「用件は以上。それじゃあ」と言って、外に出た。フーッと力が抜けた。思ったよりも、うまくいった。憑き物が取れたように、気持ちが軽くなるのを感じた。

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