金正恩委員長は、今年4月11日党政治局会議に出席したものの翌日の最高人民会議に出席しなかった。
「北朝鮮には新型コロナウイルスに一人の感染者も出ていない、感染者も発生させないようにした」と強調した。
北朝鮮は、写真のように「金正恩は軍の訓練を視察し、軍人に接近して隣にいるではないか、また、軍人たちが黒マスクをしていても、マスクをせず堂々としている」とアピールしていた。
私は、JBpressでこれまで2度、「金正恩の姿はコピペされたもので、軍人の近くには現れていない」と述べてきた。
北朝鮮は、コピペした写真を繰り返し掲載している。私も懲りずに指摘したい。
写真:3月12日、砲撃対抗競技を指導する金正恩、指導を受ける軍団長(中将)
金正恩や軍団長は、バラキューダ偽装網で覆われている
軍の訓練視察は、写真でごまかせるが、さすがに全国の代議員が集まる最高人民会議では、存在していないことを存在したかのように合成写真でごまかせば、そのうわさが広まり、最高指導者、将軍様としての権威を失ってしまう。
このため、党中央委員会政治局会議を前日に実施して、最高人民会議を欠席した。
コロナウイルスによって国家が危機に直面しそうなこの時期に、金正恩委員長が党の重大事案を決定する会議に参加しないことは、「金正恩は逃げている」としか見なされない。
実際、金正恩氏は感染を極度に恐れている。
■ 服の一部が消滅しているのは合成ミス
安価な写真編集ソフトを使っても、写真を容易に切り抜き、好きなところに貼り付けることができる。
人物などの背景を透明にして、いくつもの写真を重ね合わせることもできる。
上手く貼り付けができない部分には、「ぼかし」も入れることができる。
写真編集の専門家であれば、さらに早く精密にできる。写真の解像度が良いと、私でも、3分もあれば容易にできる。
だが、陰影部分など周りとの色具合が区別しづらいところは難しい。切り抜く場合に、このような箇所では、ある部分が消え、ノコギリの歯のような特殊な凹凸もできる。
金正恩委員長が写る写真にも、このような欠陥が明瞭に現れることがある。このような写真は、間違いなく合成写真である。
当然だが、自然界にはない。金正恩委員長が3月21日、戦術誘導兵器の射撃を視察した時の写真の中に、合成である明白な証拠があったので紹介する。
最近、写真編集ソフトを購入し、人物だけを切り抜き、背景を透明にして、パワーポイントやワードに貼り付けることができるようになった。
解像度が良い写真を使えばすべて上手くいった。だが、朝鮮中央通信が掲載している金正恩氏の写真の一つ(写真参照)を使って、彼を切り抜き貼り付けようとしたのだが、どうも上手くいかない。
その箇所を拡大鏡でよく見ると、そこにあるはずの服の腕の一部やコートの裾の部分が切れてないのだ。
また、服の肩の部分に、合成写真でしかできない複雑なノコギリ状の波がある。写真の切り抜きと貼り付け状態だけを見ても、100%合成写真だと判断できる。
朝鮮中央通信の最高指導者欄の「金正恩党委員長が戦術誘導兵器の模範射撃を視察」7/12Pの写真を見れば、よく分かる。消去される前に見てほしい。北朝鮮党宣伝部の完全な失敗作だ。
たった一枚の写真が、「金正恩委員長が軍人の近くに存在しないにもかかわらず、存在しているようにみせかけたうそ」を100%明らかにした。
その他のことを観察しても、例えば、
(1)写真を拡大して貼り付けると、立体感が全くなくなり、貼り絵と同じになる。
(2)コピペした人物だけが浮き上がり、違和感がある。
(3)コピペされた人物と周辺の人達との関係に、一体感がないなどがある。
写真:朝鮮中央通信掲載の写真(消えている部分)
図:金正恩の服が不自然に消えている部分(青色)
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